スマートフォンは、世界的にも近年利用者が著しく増加し、我が国においても急速に普及が進んでおり、多様なサービスの提供による利便性向上や市場の発展が期待されています。しかし、スマートフォンを介して利用者の行動履歴や通信履歴等の多くの利用者情報の取得や蓄積が可能であり、アプリケーション等による個人のプライバシーに関わる情報の適正な取扱いが課題となっています。
そのため、スマートフォンの安全・安心な利用環境の確保が不可欠となっており、関係事業者等による適正な利用者情報の取扱いのための取り組みがなされることが、市場の中長期的な発展のために重要となっています。このような視点から、総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」に「スマートフォンを経由した利用者情報の取扱いに関するWG」が設置され、ワーキンググループの検討の結果として、2012年8月に、「スマートフォン プライバシー イニシアティブ」が提言として取りまとめられ公表されました。本提言にもあるように、スマ-トフォンにおける利用者情報の取扱に関する利用者の不安解消は、一義的にはアプリ提供者等、サービス提供に関係する事業者の責務といえます。総務省のワーキンググループにおける検討の場においても、消費者を守るために法規制を検討すべきとの意見もありました。一方、我が国の情報通信分野では、業界における自主規制が有効に機能し重要な役割を果たしていることから、新たな市場であるスマートフォンにおいても、関係団体や業界等における自主的な取り組みにより、アプリケーション市場全体が利用者にとって安全・安心な方向に発展していくことが期待されます。
スマートフォンの普及は未だ揺籃期にあることから、今後もその高い利便性ゆえに世界的にオープンなイノベーションが進む業界であることが期待されます。
この観点からも新たな法規制によるというよりも、関係事業者等による自主規制により、利用者のプライバシー保護が適正に図られ、市場の健全な発展が進むことが望ましいといえます。
以上から、業界横断的に業界団体間で相互に理解を深めて議論を交わし、自主的な取組みを進めていくことが重要との認識に基づき、「スマートフォンの利用者情報等に関する連絡協議会」を設置することになりました。
本連絡協議会では、各業界団体等における今後の検討に資するよう、活発な情報交換やベストプラクティス等の共有を進めていくことを目指しています。また、モデルプライバシーポリシーや業界団体ガイドラインの検討、会員への普及啓発など具体的な活動の成果も公表していく予定です。
スマートフォンにおける個人情報・プライバシー保護をめぐる問題については、欧米諸国でも議論が着手された段階であり、本連絡協議会の成果は世界的にもアピールできる前例になると期待しています。